瓦版2024.07.09 第714号 斉藤 睦さんら11人のコラム掲載。

 ことしも、あっという間に半年が過ぎました。ということは4カ月後なんて、もう目の前のようなものです。つまり、11月9、10日の高知県梼原町「スローライフ・フォーラム」が迫ってきています。参加者を大々々募集中です。行ってみようかなという方には、まず往復の足の確保をおススメします。早いほど格安です。詳細は「編集室便り」をご覧ください。

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ご感想を下記にお寄せください。
slowlifej@nifty.com

 

『緑と絆の木陰』

人間は省エネ
  斉藤 睦 (東京都中野区 地域総合研究所顧問)

 いわゆる生成AIアプリを利用している。ある問題について、生成AIはどのように把握・整理しているかを知っておきたいからだ。
 だれもがそういうように、質問への答えを書き出してくるスピードと情報量に驚く。数秒で大量の情報を表示してくる。ときどき間違った情報を出してくるが、そう指摘すれば謝るし、おおむねそれを根拠に物事を考えることに役立つ情報で対応してくる。
 これなら、そう遠くない未来、ホワイトカラーの事務仕事やアニメ創作、作曲といった創造的な仕事も、AIにやらせようという時代がくるのではないか、とも思う。
 ただし、AI利用には大きな問題がある。その電力消費の過大さである。そもそもAI開発自体に多大なエネルギーが消費されていて、今後さまざまな分野で活用するためにさらに膨大なエネルギーが必要であり、またユーザーがAIを使うときにも電力が必要だ。
 一方、人間の脳の消費エネルギーは20W程度だという。同じことを人間がやるほうが、時間はかかりはするが、ずっと省エネでやれる。エネルギー消費の量の多寡が人間とAIのどちらがやるかという時の大きな論点になってくると考える。
 改めて、人間って良くできているのではないかと思っている自分がいる。

 

<あっちこっちで多事争論>

高知市には条例を見守る委員会があります
  川竹大輔 (高知市 高知大学次世代地域創造センター)

 高知市には、「高知市市民と行政のパートナーシップのまちづくり条例見守り委員会」というものがあって、5月から任期2年・2期目の委員をしています。
 この条例は、2代前の市長のとき、2003年4月1日の制定です。
 阪神淡路大震災を契機に1998年に特定非営利活動法人法ができ、高知市では同年9月に起きた豪雨災害の際に活躍したボランティアの市民活動が高く評価された時代状況のなか、2001年6月から条例策定委員会が合計19回開催され、「まちづくり 一緒にやろうや条例(仮称)」の策定についての提言書を出したのが起点です。
 「何でまちづくりをするが。みんなあにとって、『のうがえいまち』にしたいき。」といった土佐弁とその訳文で構成する前文で条例は始まります。「のうがえい」は「居心地がいい」です。条例はパートナーシップによるまちづくりの基本原則、市や市民等の役割、市民活動への支援の記述のあと、第6章:市民と行政のパートナーシップのまちづくり条例見守り委員会、を定めています。
 本当に条例制定時に意図したパートナーシップのまちづくりができているか、いろいろと思うところはありますが、だからこそ、先人のバトンを受け継ぎ当事者意識を持って、委員の役割を果たしていきたいと思います。

 

AKIKOさん
  石井みな子 (東京都 NPO品川女性起業家交流会理事長)

 ニューヨーク在住の友人の娘さん、AKIKOさんは建築家であり空間プロデューサーでもある。N.Y.で活躍中の彼女がいよいよ日本で仕事デビューした。いま話題の麻布台ヒルズギヤラリーのオープン記念アーティスト「CARUDAR展」の企画プロデュース。大役である!
 友人から日本滞在中に何かあったら心配なので、と私にフオローの依頼があった。でも、フオローの必要は何もなく、6月に無事オープン。世界のアーティスト、文化人、著名人、政治家まで多様な方々が招かれるなか、そっと私も参加した。展示空間の壁面は漆喰、和紙、木材など日本の素材で仕上げられ、アメリカアートCARDERの作品が繊細に、かつ大胆に迫りくる日米の素敵な融合の場となった。
 AKIKOさんのご両親は20代で渡米、努力を重ねて起業、いまや全米で最も離職率の低い会社を創りあげた素敵なご夫妻。私は30年前から毎年ニューヨークを訪れ、その度にその友人宅に滞在してきた。まだ幼かったAKIKOさんは私が日本に帰国するたびに、目に涙をいっぱいため見送ってくれた。その彼女がいま、黒いドレスに身を包み、麻布台ヒルズでNHKテレビの取材を受け、堂々と日米の文化の融合を語り、次世代の輝きを放っている。感無量であった。
 期待できる次世代の輝く感性! 私の経験が少しでも次世代にお役にたてばと強く思う昨今である。

 

自由人になるための工夫?
  岩澤正明(新潟県妙高市 スローライフの会会員)

 前回(709号)、退職し、自由人となったことを報告した。今回は人生のミッション=健康で楽しみながら農業をし、田畑を子世代に引き継ぐこと(就職で家を離れた息子たちが希望すれば、の話だが)のうち「楽しむ」工夫を報告したい。
 5月に田植えをし、退職の身辺整理が終わると、空き時間が生じてきた。兼業での1haの稲作は大変だが、専業となったので、疲れたり、天候が悪くなったりすれば、次の日に作業をまわすなど余裕も出た。その反面、メリハリのない生活になりつつあるし、閉じこもりそうな気もしてきた。そこで、毎月10項目、ワクワクを実行!することとした。
 6月の「ワクワク10」は、尾瀬ハイキング、電動自転車・野尻湖サイクリング、葡萄の袋かけアルバイト、行列のできるラーメン店訪問など。何やら、無理やり感がプンプンとし、妻からは「焦らなくてもいいんじゃないの」と言われつつ・・・・。しばらくは、「楽しむ」ことを「新たな視点で物事を見る」と捉え、生活をしていくこととしたい。(この夏、海の家での一日読書をワクワク項目とするか、悩んでいる。)

 

ひよどりとブルーベリー
  栗生尚子  (兵庫県宝塚市 スローライフの会会員)

 庭に植えたブルーベリーが今年も実をつけました。楽しみにしていたところ、ひよどりが一羽現れ、ピンクの甘い実をつける種類、ピンクレモネードの枝に止まり、食べ去って行きました。
 毎年のことなので、夫が防鳥ネットを張り一安心していたら、なんと翌日、ひよどりが連れ合い(?)と共に現れて、上手にネットの上に軽く乗り、すきまから食べていました。それを見て夫は不愉快な顔をしましたが、私は「えっ連れてきたの」と吹き出して仲の良いひよどりにほっとしつつ、ちょっと未熟な実を食べてみました。甘酸っぱくて美味しい。これは彼らにとってはご馳走でしょう。
 結局、夫が他のブルーベリーの為にもネットの張り方を変えたので、その後は諦めてしまったよう。私達が気がつくまで楽しく食べてていたひよどりには、来年まで大切なブルーベリーはおあづけ。今は我が家の食卓に並んでいます。

 

はつなつ
  松井悠夏 (東京都新宿区 スローライフの会会員)

 あまりにも私は「はつなつ」を愛してしまっている。
 一般的にはあまりなじみのない言葉だが、「はつなつ」というのは「初夏(しょか)」のこと。お正月の時期に「初春(はつはる)」は聞いたことがあると思う。「はつなつ」の読みはこの「初春」から来ているらしく、明治の頃から短歌や俳句だけで使われるようになった。
 私は「はつなつ」で短歌を詠むのが大好きだ。理由は綺麗でゆったりとした言葉だから。
 たとえば、
 窮屈なスーツを解けば胸板にはるかに聞こゆはつなつの海
 屈強な男のスーツを脱がし、胸板に耳を当てると波のような命が流れているという、純真なる乙女が詠んだとは想像もつかない歌だ。
 もし最後が「初夏の海」ならまた違う印象だと思う。「初夏」は読み上げるスピードが早くなる。視覚的にも漢字だし硬い印象になる。でも「はつなつ」だと読むときに「つ」で2回詰まるからゆったりするし、平仮名なので柔らかく見える。
 結果的に「この男は穏やかな海のような人かな?」と想像をしてもらえる。この一語に美しき詩情があふれるのだ。
 だから私は「はつなつ」を愛してしまう。この夏はあなたにも「はつなつ」のようなゆったりした綺麗なものが見つかりますように。

 

案山子づくり
  人形寺祥弘  (兵庫県淡路市 スローライフの会会員)

 淡路島の北に位置する、私の住む仁井村(現在は淡路市仁井)の一集落で案山子を作ってきました。毎年地域の田んぼに、多いときで500体近くを飾り、春の祭りを開催して地域交流をしていました。
 仁井村も昭和30年頃は1500人以上の人口がありましたが、平成に入ると600人台になっていました。ある時、兵庫県の地域交流事業で知事より、「案山子も昔の仁井地域の人口まで頑張って作ってください」と言われました。それをきっかけに毎年1000体以上の案山子作り始めました。しかし、高齢化が進み数年前に祭りが中止となりました。使われなくなった案山子を10体余りお譲りいただき、年に二回の着せ替えをして、仁井地域の中心地に展示しています。
 この地でスロ-ライフ・フオ-ラム淡路分科会が2009年に開催されました。

 

さろんの録画を見て
  舟越隆裕 (栃木県日光市 珈琲CoCom)

 6月の坂田啓子さんの「さんか・さろん」の録画を拝見しました。共感する部分がたくさんありました。私の場合はキッチンカーで、サッカーの栃木SCの会場に出店するのですが、会場からの歓声を聴くばかりで、グラウンドに入ったことがありません。
 が、地元のアイスホッケーチーム”アイスバックス”には何年もシーズンチケットで通っています。かなり地域密着型ですが、東京方面から毎回通う方も多々。リンクでは子どもから老人まで、サポーターがなんの迷いもなく仲間感覚で盛り上がります。なので、リンク(霧降アイスアリーナ)は「霧降劇場」とも呼ばれます。残念ながら弱いチームですが、だからこそ、なおさら盛り上がるのです。
 もちろん日光では、小学生からアイスホッケーをやるのは当たり前、授業としてもリンクに行くくらい根付いたスポーツです。
 栃木県には栃木SC、日光アイスバックスのほか、バスケットの宇都宮ブレックスもあります。これらがコラボしてイベントをやったり、お互いのゲームを選手が観戦に来たりと、県全体としての一体化もほほえましいです。
 坂田さんとは、新宿のキャバレー(でのスローライフ・フォーラム)でお会いして以来なので、いつかゆっくりお話ししたいです。

 

「渋谷でガザを想う」

  金井紀光 (東京都新宿区 写真家)

 

 

『スローライフ曼荼羅』
水源の人
  野口智子(ゆとり研究所)

 京都府綾部市では、いわゆる限界集落を「水源の里」と呼び替え、応援しています。それが全国に広がっています。私はそのお手伝いで綾部市に通い始めました。市内21ヶ所の水源の里を、まずは次々と訪ねています。移住してきた陶芸家夫妻、ブランド米を作る人、山椒を栽培し商品化している人、水源に住む人は、それぞれに頑張っていたのでした。https://noguchi-tomoko.com/post-10416/

 

 

『つべ小部屋』
都知事選って
  つぼいゆづる (スローライフ瓦版編集長)

 「3カ月かけて都知事選をやれば」という駄文を月刊誌に書いたことがある。小池百合子氏が勝った8年前の都知事選を見てのことだ。選挙期間が17日というのは短すぎる。もっと人物を見極めるため、米国大統領選のような公開討論会を重ねるべきだ。現行法制の下でも選挙期間の延長は可能で、東日本大震災の被災地に実例があった、などという趣旨だった。
 今回も同じ思いを抱いた。有権者数1100万人を超す国内最大の「1人区」なのに、なぜ、人口60万人の鳥取県知事選と同じなのか。有力な候補者による討論会は結局、日本記者クラブと日本青年会議所だけ。現職が忌避したといわれるのは、さもありなんな話なのではあるけれど。
 おかげで都知事選のさなかに、米国大統領選の討論会の方が話題になるありさま。「記憶と思考回路の切れかかった老人」VS「思考回路が初めから間違っている老人」の姿を、どれほどテレビで見たことか。
 さらに、フランスで極右が政権を獲るかもしれないとか、イギリスでは保守党が歴史的大敗を喫したとか、海外の選挙報道が次々に押し寄せた。
 いったい、東京はどこへ行ったのか。ふざけた選挙ポスターの話題が政策論争を片隅に追いやっていたようで、それがいまの東京の政治状況そのものだと思い知らされているようで、何とも腹立たしく悲しかった。
 追記:「選挙期間3カ月」には法定選挙費用という壁がある。都知事選は公職選挙法194条や公職選挙法施行令127条などの規定に基づいて6000万円強。3カ月の選挙戦の軍資金としては少なすぎる、という「選挙プロ」の見立ても駄文には書き添えていた。

 

<編集室便り>

▽11月9日(土)・10日(日)フォーラムです。
この秋、11月は高知県梼原(ゆすはら)町でフォーラムです。取り急ぎ、早めに航空券などを確保なさってください。
・名称:「スローライフ・フォーラムinゆすはら」
・場所:高知県梼原町「ゆすはら座」で
・テーマ:「集落と、若者と」
・11月9日(土):町内「集落活動センター」2カ所、隈研吾設計・図書館、「茶堂」などを見学。夜は「夜なべ談義」で交流。
・11月10日(日):午前中「分科会」川竹大輔、坪井ゆづる。午後「シンポジウム」高知県知事、梼原町長、増田寛也、中村桂子、神野直彦。
詳しくはこちらから⇓
https://www.slowlife-japan.jp/2024/07/02/%ef%bd%93-309/
※空港と梼原町の往復は、事務局が大型バスをチャーターします。
※陸路の方は、JR高知駅に上記のバスを往復つけます。
※宿泊は、事務局が確保した梼原町の民宿など、安価な宿泊施設となります。
ご参加、お問合せはまずメールでご連絡ください。メール slowlifej@nifty.com

 

▽7月16日の「さんか・さろん」は「雲仙人奮闘記」です。

長崎県雲仙市では、何かしらまちおこしに関わる市民たちを、「雲仙人(くもせんにん)」と呼び、市民活動をしています。いま、みんな日々の暮らしに必死、地域おこしどころではない、というのが本音でしょう。それでも、続けるのはなぜなのか? 「雲仙人」ネットワークの魅力は何なのか。これまでのいいこと、しんどいこと、すべてお話いただきます。以前、フォーラムでお世話になったこともある雲仙市です、スピーカーはおなじみの小牟田弘子さんとそのお仲間です。ぜひご予定ください。
日時:7月16日(火)19時からzoomで
テーマ:「雲仙人(くもせんにん)奮闘記」
スピーカー:小牟田弘子さん、荒木政勝さん、堀口治香さん
申込:7月13日(土)までにメールでスローライフの会まで。slowlifej@nifty.com
詳しくはこちらから⇓
https://www.slowlife-japan.jp/2024/07/01/%ef%bd%93-308/

 

▽会費がまだの方、入金をお願いします。お待ちしております。
今年度会費がまだの方、お待ちしております。この際、新規会員ご希望の方は、まずメールを。 slowlifej@nifty.com
・年会費:一口 5000円(何口でも)
・「さんか・さろん」参加費:年間 3000円(年間支払いでない場合、会員は一回1000円、非会員は2000円です)
※「さろん」年間カリキュラムはこちらから https://www.slowlife-japan.jp/2024/03/28/%ef%bd%93-297/
会員は「スローライフ瓦版」に投稿できるほか、「さろん」「フォーラム」などの催しに安く参加できます。
この会は皆様の会費とボランティア作業で運営しております。今後の活動に向けてぜひご協力ください。
・振込先
ゆうちょ銀行 振替口座 00190-4-595293 スローライフの会
※他金融機関からのお振込みの場合は
店名:〇一九(ゼロイチキュウ)店、預金種目:当座  口座番号:0595293、スローライフの会 まで。

 

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「NPOスローライフ・ジャパン、スローライフ学会」は昨年12月、名前が「スローライフの会」に、住所も変わりました。
〒160-0022 東京都新宿区新宿2丁目12番13号
新宿アントレサロンビル2階「スローライフの会」
メール slowlifej@nifty.com 電話090-7433-1741(野口)
※ご連絡はなるべくメールでお願いします。
※活動詳細はホームページからご覧ください。
http://www.slowlife-japan.jp/
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